技能実習制度の廃止はいつから?改正の経緯から新制度のポイントまで解説
外国人技能実習制度は日本の技術力を海外に輸出する国際貢献の一環として導入された制度です。しかし、この制度が社会問題となり、改革の声が高まっています。
その背景には、実習生の待遇問題や制度の運用に関する問題があるからです。
そこで、この記事では技能実習制度の問題点と、それを解決するために2024年以降に施行予定の新制度について詳しく解説します。
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技能実習制度とは
技能実習生制度とは、主に途上国からの若者たちが日本で技術や知識を学び、母国での産業発展に役立てることを目的とした制度です。これは国際貢献の一環として日本政府が1993年に導入しました。
一定の専門技術や知識を持つ外国人が、日本の企業等で最長5年間、実務経験を積むことができます。しかし、この制度は一部で問題視されています。
次のセクションでは、この制度が問題視されている理由について見ていきましょう。
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技能実習制度がなぜ社会問題となっているのか
技能実習制度が社会問題となっている背景には、主に2つの理由があります。
1つは「実質的には実習ではなく労働力として扱われている」という点。もう1つは「賃金や職場環境が劣悪な場合がある」という点です。
実質的に労働力として扱われている
技能実習制度は、外国人研修生が日本の技術や知識を学ぶという名目の下に、実質的には労働力として活用されているという問題が指摘されています。
外国人技能実習生は、実習生という名目でありつつも一般労働者と同じように働いているのです。そこで問題となるのが転職の自由です。
一般的な労働者は職場が合わないと感じたり、キャリアアップの必要性を感じたりすると自由に職場を辞めて他の職場に転職できます。
しかし、外国人実習生の場合は職場を移ることが禁じられています。よって、会社からパワハラや理不尽な対応を受けた場合でも実習期間が終了するまで我慢するか、職場から逃げ出す以外に選択肢がないのです。(※但し、現行でも実習が継続できない等の合理的理由があれば同職種の企業に転職は可能です。)
賃金や職場環境が劣悪な場合がある
技能実習制度の下で働く外国人労働者が直面する問題の一つが、賃金や職場環境の劣悪さです。
多くの受け入れ企業は正当な扱い方をしていますが、一部の悪質な企業が賃金の不払いやパワハラ、当初の計画通りの仕事をさせないなどの不正行為を行っており、問題視されています。
これらの問題は、技能実習生の人権を侵害するだけでなく、日本の国際的な評価を下げる要因ともなっており、制度の改善が求められているのです。
問題解決のための新制度が2024年以降に施行
技能実習制度の問題点を解消するため、2024年以降に新制度が施行される予定です。
この新制度は、「育成技能」という新たな在留資格を設け、より公平な労働環境を提供することを目指しています。
ここからは新しい在留資格の名称「育成技能」と新制度と旧制度の違いについて説明します。
新しい在留資格の名称「育成技能」とは?
新しい在留資格の名称「育成技能」とは、2024年以降に施行予定の新制度で導入される資格のことを指します。
この「育成技能」は、従来の「国際貢献」という建前上の理念を「外国人労働者の確保と育成」に転換し、外国人労働者が日本で働くための新たな枠組みを提供します。
この制度では育成期間は3年間であり、3年間就労すると「特定技能」の在留資格が得られます。
また、従来の制度の課題点であった転職(転籍)も認められるのが大きな特長です。就労開始から1年以上で、かつ一定の日本語能力が認められる場合という条件付きですが、完全に禁止だった従来の制度からすればかなり進歩したと言えるでしょう。
従来の課題点であった管理体制の不透明性や賃金の不払いなどの不正行為に対しても厳格に対策が練られています。
今後は外国人労働者を単なる安い労働力として使い捨てるのではなく、長期的な雇用を前提とした労働者として扱う必要があるのです。
技能実習制度と新制度の違い
従来の技能実習制度と新制度の違いを表にまとめます。
特徴 | 技能実習制度 | 新育成技能制度 |
目的 | 「国際貢献」 開発途上国の人材への技能移転 | 「外国人在確保と人材育成」 |
受け入れ対象分野 | 87職種159作業 特定技能制度と一致せず | 特定技能制度の「特定産業分野」に限定 |
転職の可否 | 原則転職不可 | 就労開始1年以上、一定の日本語能力があれば転職可 |
特定技能制度への移行 | 特定技能1号との業務関連性、特定技能1号試験+日本語N4か技能検定3級合格が条件 | 技能検定3級か特定技能1号評価試験合格、日本語能力A2以上が条件 |
受け入れ人数の設定 | 不透明 | 明確に上限を定める |
管理監督の方法 | 管理団体、支援団体によってばらつきがある | 管理団体、支援団体の要件の厳格化 支援体制の強化 |
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受入れ企業にとっての新制度のメリットとデメリット
新制度は、実習先の企業にとってもメリットとデメリットが見受けられます。ここからは新制度のメリットとデメリットについてまとめます。
受入れ企業の新制度のメリット
長期雇用が可能となる
新制度では、育成技能のプロセス終了後は、そのまま特定技能の労働者へ移行できることになっています。
従来の制度では実習生と特定技能の領域が必ずしも一致していなかったため、技能実習が終わった段階で雇用も終了するケースが多くありました。しかし、新制度では育成技能と特定技能の領域が一致されます。
よって、育成技能終了後でも最長5年間の雇用延長が可能となるのです。長期雇用による安定した労働力の確保は、企業の事業計画を立てやすくするだけでなく、技能実習生自身の生活安定にも寄与します。
転職が可能になることで、新たな人材獲得のチャンスが生まれる
新制度により、技能実習生が転職可能となることで、企業にとって新たな人材獲得のチャンスが生まれます。従来の制度では技能実習生の転職が原則不可だったため、人材獲得のチャンスは限られていました。
しかし、新制度では1年間就労後に一定の日本語能力があれば自由に転職できるようになります。つまり、他社で実務経験を1年積んで日本語もできる外国人労働者を雇えるチャンスが増えるのです。
一定の日本語能力が保障される
新制度では技能実習生に「一定水準の日本語能力」が求められます。これは、受け入れ企業にとって大きなメリットの一つです。なぜなら、新制度の元で来る技能実習生はある程度の日本語能力が保障されていることになるからです。
やはり外国人人材の活用で最も懸念されるのは言葉の壁でしょう。ある程度日本語能力のある労働者が来てくれたほうが活用もしやすいはずです。
受入れ企業の新制度のデメリット
人件費の増加が予想される
新制度では技能実習制度の時よりも外国人へ支払う給料水準が高くなると予想されます。なぜなら、旧制度では賃金の不払いなどが横行しており、それを解決するための新制度だからです。
当然、給与面での規制は厳格化されると考えられ、今までよりも賃金を抑制しづらくなるかもしれません。
また、新制度では技能実習生に対する労働条件の改善が求められており、これにより給与だけでなく、福利厚生費用も増加する可能性があります。企業側としては、これらのコスト増に対する対策が求められるでしょう。
受け入れ可能な職種の範囲が狭まる
技能実習廃止後の新制度では、受け入れ可能な職種の範囲が狭まるというデメリットが考えられます。
現行の技能実習制度では幅広い職種が対象となっていましたが、新制度では職種を特定技能の12職種に合わせる案がでているからです。
これにより、これまで技能実習生を受け入れていた企業でも、新制度での受け入れが難しくなる可能性があります。
しかしながら、新制度の移行は外国人労働者を幅広く活用していく目的があると考えられ、その目的に照らせば職種の範囲が12職種よりも広がる可能性もあるでしょう。まだ具体的な話は出ていませんが、今後の動向に注目する必要があります。
転職されると教育投資が無駄になる
新制度では技能実習生が転職できるようになりましたが、これには企業側にとってのデメリットも存在します。
技能実習生に対して一定の時間と労力をかけて教育や研修を行い、そのスキルや知識を習得させてから転職されてしまうと、その投資が報われないまま人材を失うことになるからです。(入国前の教育投資も含む)
他社で経験を積んだ人材を獲得しやすい反面、自社で経験を積んだ人材を奪われてしまうリスクもあるのです。これはメリットとデメリットが表裏一体です。
配属後の日本語教育の義務化の可能性
新制度では、雇用先企業に対する技能実習生語学教育の場の提供などが義務化される可能性があります。
経費負担など、今まで以上に監理団体との提携が必要になります。
新制度移行後は、外国人労働者の満足度をしっかり保てるように、適切なケアやフォローをする必要があるでしょう。
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特定技能制度はどうなる?
特定技能制度は、日本の労働力不足を補うために導入された制度で、特定の技能を有する外国人労働者を受け入れることを目的としています。この制度は、介護、建設業、農業など12の業種で適用されており、技能実習生とは異なり、家族の同伴や転職が可能ななどの利点があります。
しかし、技能実習制度と同様に、労働環境や待遇の問題が指摘されることもあります。また特定技能制度は、一定の技能や日本語能力を有することが求められるため、技能実習制度と比べて受け入れる側のハードルは高くなっています。
新制度「育成技能」の導入により、特定技能制度の位置づけや運用にも変更が生じる可能性があります。これらの制度は、日本の労働力確保と外国人労働者の人権保護のバランスをどう取るかが問われる重要なテーマとなっています。
新制度施行後の特定技能制度は?
新制度が施行された後も、特定技能制度は引き続き存在します。ただし、その役割や位置付けは変わる可能性があります。
最も可能性が高いのは特定技能制度の業種拡大でしょう。国際貢献という建前的な理念から外国人人材の確保に転換したことから、日本は本格的に外国人雇用を拡大していく方針に切り替えたと考えられるからです。
現役世代人口減少に伴う人手不足は深刻化しており、今後もますます加速していくと考えられます。2023年12月現在では具体的な話はまだ出ていませんが、特定技能制度の業種の拡大は近い将来考えられる変更です。
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まとめ
この記事では技能実習制度の問題点と新制度の導入について解説しました。技能実習制度は、外国人研修生の労働力としての扱いや劣悪な労働環境が問題視されています。
これに対し、2024年以降に施行予定の新制度「育成技能」は、労働者の保護と企業のニーズを両立させることを目指しています。ただし、新制度にもメリットとデメリットがあり、企業にとっては受け入れの準備やコストが必要となるでしょう。
また、特定技能制度も引き続き存在しますが、新制度との関係性や今後の運用については注視が必要です。これらの制度を理解し、適切に活用することで、より良い労働環境の実現につながると考えます。
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