Indeedの調査から考える応募者と連絡がつかない原因と対策
Indeedを利用しているケースに限らず、面接を予定していた応募者と連絡がつかず、ストレスを感じている担当者は多くいるでしょう。
応募者対応において、連絡が取れない状況が頻発すると、採用担当者としては「自社の対応に問題があったのか」・「マッチ度が低い人材を集めるような求人原稿だったのか」など、答えのない問いを模索せざるを得ない状況に陥りがちです。
この記事では、そのような悩みを抱える採用担当者向けに、Indeedの調査から応募者と連絡がつかない原因と対策を紐解きます。
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採用担当者の業務実態に関する調査結果(Indeed発表)
まずは、Indeed Japan株式会社の「採用担当者の業務実態」に関する調査をもとに、採用担当者の業務実態について解説します。
業務実態
調査によると、直近の1年間で携わった業務内容が「採用業務」だけだった採用担当者は、回答者の24.1%にとどまっています。
逆に、人事・採用業務以外の業務を兼任している採用担当者は、72.4%となっています。
また、採用担当者が各業務に割いている業務時間の割合は「業務全体の43.4%」に過ぎず、採用を含む人事関連業務に割いている時間も51.0%と約半数にとどまります。
このことから、日本企業の採用担当者が多様な業務に従事せざるを得ない現実が見て取れます。
連絡が取れなくなる課題
採用担当者が、採用業務において抱える最も大きな課題の一つが、応募者と連絡が取れなくなる「ゴースティング」です。
調査によると、日本においてゴースティングを経験したことのある採用担当者は、なんと74.9%にのぼります。
具体的には、次のようなシーンにおいて、連絡が途絶えたり応募者からの返信がなかったりするケースが多い傾向にあります。
※出典元:Indeedが「採用担当者の業務実態」に関する調査を実施 応募者と連絡が取れなくなる『ゴースティング』経験者は74.9%にのぼる 最も重要な「面接」の実施に至るまでには様々な課題が
最も多いのが「応募を受け付けた後、応募者へ連絡したがなんの返信もなかった」、続いて「約束した面接に応募者は来ず、その後も連絡はなかった」「面接の日程調整に入ってから連絡が途絶えた」という結果でした。
このような状況が生じる背景には、「求める人物像と異なる人の応募が多い」・「求人に対する応募が増えない」など、自社が欲しい人材からの応募を集めにくいという課題・問題意識があります。
Indeedの応募者はサクラが多いという噂は本当?
連絡がつかない応募者がいることから、採用の現場では、一部採用担当者から「Indeedは“サクラ”を使っているのではないか」という噂がささやかれています。
Indeedがサクラを使用していると仮定した場合、Indeedが掲載のメリットを企業にアピールするためにサクラに応募させたりするケースが想定されるでしょう。
しかし、それはありえないでしょう。
サクラを利用したとしても、実際に採用ができなければ、いずれ信用が落ちてしまうからです。
そもそもIndeedは世界各国で利用されている求人検索エンジンであり、日本国内でも3,700万人以上の求職者が集まる規模にまで認知されています。
よって、Indeedにサクラがいるという意見は、単なる噂に過ぎないものと考えられます。
応募者と連絡がつかない原因
次は、応募者と連絡がつかない原因について、主なものをいくつかご紹介します。
他社に採用された
他社に採用された、または内定が決まった場合、応募者の中には「その他の応募先に連絡する必要はない」と判断する人も一定数存在しています。
求人に応募した以上、本来なら応募者側から辞退の連絡をすべきところですが、そのようなマナーが守れる人材だけが自社に応募しているとは限りません。
このようなケースで連絡がつかなくなることを回避するためには、他社に先駆けて選考を進めることが大事です。このあとご紹介するようにスピード感をもって応募~面接~選考を進めることが、大事です。
企業からの連絡が遅い
採用通知も含め、企業からの連絡が遅いと応募者が感じた場合、その応募者が将来を不安に感じ、連絡がつかなくなってしまう可能性があります。
具体的には、求職者側が「企業側と連絡がつかない」と感じてしまっているほど、企業から連絡するのが遅いケースが該当します。
応募者からの連絡に対しては、できるだけ迅速に対応しないと、それだけで応募者が不信感を抱きます。
具体的には、応募があってから24時間以内に返信するように心がけましょう。
仮に、選考が長引いている状況であったとしても、途中経過も含めこまめに連絡を入れることが大切です。
選考プロセスが長い
自社にマッチする人材を採用するためには、選考にも可能な限りこだわりたいところです。
しかし、そのために試験や面接を複数回実施したり、内定を出すまでに時間がかかったりすると、応募者が「本当にこの会社でいいのかな……」と不安を抱いてしまう可能性があります。
選考プロセスの長さは、長くなるだけ人材が自社から離れてしまう理由となります。
応募者と連絡がつかない状況が続いている場合、企業の事情だけを優先して選考プロセスを組み立てていないかどうか、見直す時間を設けましょう。
担当者の印象が悪い
採用担当者の電話対応が雑だったり、面接官の態度が横柄だったりすると、それだけで応募者に「この会社で働きたくない」と判断されるおそれがあります。
具体的には、次のような印象を応募者に抱かせてしまうと、その後連絡がつかなくなる可能性が高くなるため、担当者は十分に注意が必要です。
- 応募者にとって重要な連絡のタイミングが遅い
- 面接時間が予定通りでない
- 質問内容や言動が不適切に感じられる(プライベートについて聞くなど)
- 身だしなみが整っていない など
会社の魅力を伝えきれていない
中小企業の中には、求人情報や選考プロセスの中で“自社の魅力”を十分に伝えられていない企業も、少なからず存在しています。
応募者に対して、会社の魅力を十分に伝えられない主な理由としては、次のようなものが考えられます。
- 応募者にとって「自社に魅力などあるのか」などとネガティブになってしまう
- 自社愛が強すぎて、客観的な目線で自社の魅力を伝えられない
- 求職者目線で考え過ぎて、自社独自の魅力を伝えきれていない など
多くの応募者は、建前だけでなく本音を知りたいと考えているため、「悪いことも含めて自社の魅力である」という意識で情報を発信しましょう。
応募者と連絡がつかないときの対策
応募者と連絡がつかない状況が生じたら、早急に次のような対策を講じましょう。
様々な手段を用いて連絡する
応募者と連絡を取る際は、ありとあらゆる手段を用いて連絡を取ろうとする意識が大切です。
一般的に、選考や内定に関する連絡は電話で行うものですが、若年者の応募者の中には電話でやり取りすることに苦手意識を感じている人も多いため、メールやSMS・LINEなどで連絡を入れることも想定しておきましょう。
特に、よく知らない電話番号からかかってきた電話に関しては、詐欺のリスクなどを考慮して電話に出てもらえない可能性があります。
応募者が警戒するのを防ぐため、最初の段階で事前に連絡手段を伝えておくと、応募者に不安を与えることなくやり取りできるでしょう。
再度日程調整の連絡をする
応募者と連絡がつかない状況だからといって、すぐに辞退扱いにしてしまうのは、優秀な人材を逃すことにも繋がりかねません。
意図的に連絡を避けている応募者は論外ですが、事故や体調不良などの理由から連絡がつかなかった応募者に関しては、再度日程調整が可能である旨を連絡してみるとよいでしょう。
応募者の心理として、自分と連絡を取るために色々と気を配ってくれた企業に対しては、良い印象を持ちやすくなります。
無事電話等で連絡が取れ、連絡がつかなかった理由が応募者に起因するものでないことを確認したら、次回の面接詳細をメールなどの文字情報で送信しておきましょう。
応募辞退を未然に防ぐための対策
応募辞退は、以下の対策を講じることで、未然に防げる確率を高められます。
応募者への連絡は早く行う
応募者に対する連絡は、基本的に「早ければ早いほど良い」ものと心得ましょう。
極端な話、応募が入った段階ですぐに電話をかけてもよいでしょう。
採用担当者側でスピーディーな連絡体制を整えておくと、スマートフォンから応募手続きを進めた応募者が、スマートフォンから“手を離す前”に自社からの連絡を確認してくれる可能性が高まります。
自社の都合でそのような対応が難しい場合は、せめて求職者が応募した「翌日」までには、何らかの連絡を入れられるようにしたいものです。
求職者が応募した企業に最も入社意欲を示しているのは、当然ながら「応募時」がピークですから、そのチャンスを逃さないように対応しましょう。
連絡方法や時間帯を工夫する
応募者に対する連絡方法として、ビジネスシーンではメール・電話が利用される例が多く見られます。
それぞれの連絡方法には、次のようなメリット・デメリットがあるため、状況に応じて使い分けましょう。
連絡方法 | メリット | デメリット |
メール | 応募者の都合を考える必要なく、採用担当者のタイミングで送信できる | 応募者がメールを見逃し、確認されないまま時間が過ぎてしまう可能性がある |
電話 | 電話が繋がった段階で、すぐ要件を伝えられる | 応募者が電話に出ず、留守番電話にメッセージを残すなどの手間がかかる |
なお、応募者に連絡を入れる際は“営業時間内”に連絡を入れ、遅い時間でも従業員が働いているイメージを応募者に抱かせないよう注意が必要です。
面接の前日にリマインドの連絡をする
面接の日程を失念してしまい、応募者が面接をドタキャンしてしまうケースを防ぐには、面接の前日にリマインドを行うのが有効です。
リマインドは、メールまたは電話で行い、面接前の最終確認として連絡を入れます。
当日の天候が荒れそうな場合は、公共交通機関の代替手段を伝えたり、オンラインでの面接に切り替える旨を確認したりすると、リマインドの連絡である点を応募者に悟らせずに済みます。
むしろ、わざわざ連絡を自分に対して入れてくれたことに対して、応募者が好印象を持ってくれることも十分考えられます。
なお、オンライン面接を実施する場合は、当日の面接の流れをメールで説明してあげると、より親切な対応となるでしょう。
選考プロセスを短くする
ライバル社よりも早く優秀な人材を確保するためには、できる限り選考プロセスを迅速に進めることが重要です。
応募者が長く待たされると感じるほど、自社への入社意欲は低下する恐れがあり、魅力を感じた他社の内定を承諾してしまう可能性も高まります。
重要なのは、必要な選考ステップを“省略”するのではなく、応募者の負担・選考に要する時間を減らすことです。
よって、面接回数を減らしたり、複数回の面接を同日に行ったりすることで、これまでの自社の選考期間を見直し、少しでも短縮できるよう対応することが大切です。
加えて、選考結果を迅速に伝えることも大切です。
例えば「1週間以内に連絡します」と伝えていても、合格が決まった時点で速やかに連絡した方が、応募者に安心感を与えられます。
オンライン・オフラインの面接を使い分ける
面接は、オンライン・オフラインを必要に応じて使い分けることで、採用活動の効率化が期待できます。
採用にあたり複数回の面接を想定している場合は、選考プロセスを迅速に進められるよう、最終面接以外をオンラインで実施することも検討してみましょう。
スケジュール次第では、オンライン面接を活用することにより、応募当日に1次面接・2次面接を実施することもできるでしょう。
オンラインでの面接は、応募者・企業それぞれにとって、面接にかかる時間の短縮や、面接会場までの移動にかかるコストを削減することに繋がります。
ただし、本気で採用したい応募者がいた場合は、あえて面接のプロセスを短縮し、応募者の表情・雰囲気が分かりやすいオフラインでの面接で採否を決めるという選択肢もあります。
※Web面接(オンライン面接)に使える!おすすめのツール&アプリ7選
コミュニケーションツールを導入する
採用担当者にとって、別の業務を進めながら複数の応募者とコミュニケーションをとるのは、決して簡単なことではありません。
特に、担当者の人員が限られている状況においては、ヒューマンエラーを避けるのにも限界があります。
連絡漏れやスケジュール調整ミスを減らすためには、採用活動をサポートするコミュニケーションツールを導入するのも一手です。
定型的な内容に関しては、ツールの自動対応機能を活用することで、作業負担を大幅に軽減できます。
ツールの種類によっては、複数人の応募者の面接予約状況をリアルタイムで反映したり、まだ埋まっていないスケジュールを確認したりすることも可能になるでしょう。
採用対応におけるマニュアルを作成する
採用活動や選考を進める中で、応募者と連絡がつかないトラブルは避けて通れないものです。
そこで、あらかじめ採用対応におけるマニュアルを作成しておくと、担当者を含む人事・採用に関係するスタッフ全員が対応できるようになります。
マニュアル作成の際は、実務上で“想定されるイレギュラー”を書き含める形で考えておくと、連絡がつかないケースも含めトラブルへの対応がスピーディーです。
特に、応募者に対する確認事項・担当者不在時の電話対応などをまとめておくと、誰でも一定の対応ができるようになるため、応募者に折り返し連絡する手間が省けます。
応募者と連絡がつかない際のメールテンプレート
応募者と連絡がつかない場合に備えて、ケース別に以下のようなメールテンプレートを用意しておくと、業務効率化に繋がります。
※応募者対応にスグ使える!メールテンプレート集
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選考中に連絡がつかない場合の例文
件名:【日程調整のお願い】株式会社◯◯◯◯
○○ ○○様(応募者の氏名)
株式会社◯◯◯◯ 採用担当の◯◯です。
この度は、弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。
○月○日、一次面接の日程調整についてご連絡いたしましたが、まだご回答をいただけておりません。
つきましては、恐れ入りますが「○月○日」までに、ご都合の良い日時をお知らせいただけますでしょうか。
万一、期日までにご回答がない場合は、大変恐縮ながら、選考へのご参加をご辞退されたものと判断させていただきます。
本メールと行き違いで、既にご回答いただいている場合は、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
それでは、ご連絡をお待ちしております。
【署名】
選考中に連絡がつかない場合は、次のポイントを押さえた上で、上記のような文章を作成しましょう。
- メール送信以前に、一度連絡を入れていること
- 回答までの締切日を指定すること
- 締切日までに回答がなければ辞退とみなすこと
面接に来ない場合の例文
件名:【○次面接に関するご連絡】株式会社◯◯◯◯
○○ ○○様(応募者の氏名)
株式会社◯◯◯◯ 採用担当の◯◯です。
本日は、○時○分からの○次面接にご参加予定でしたが、面接会場までお越しいただけなかったため、取り急ぎメールをお送りいたしました。
もし、選考をご辞退される場合は、その旨ご返信いただけたら幸いです。
引き続き選考をご希望される場合は、別日程で調整させていただきます。
お手数をおかけしますが、○月の第○週で、ご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか。
なお、ご回答の締め切りは、○月○日とさせていただきます。
期日までにご連絡がない場合は、選考を辞退されたものと判断させていただきますので、悪しからずご了承ください。
それでは、ご連絡をお待ちしております。
【署名】
面接に来ない応募者に対しては、次のポイントを押さえた上で、上記のような文章を作成しましょう。
- 当日予定していた面接がキャンセルになったこと
- 他の日程で面接を受ける予定があるかどうか確認すること
- 回答までの締切日を指定すること
- 締切日までに回答がなければ辞退とみなすこと
不採用を伝える場合の例文
件名:【選考結果に関するご連絡】株式会社◯◯◯◯
○○ ○○様(応募者の氏名)
株式会社◯◯◯◯ 採用担当の◯◯です。
この度は、弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
先日○月○日、○次面接の日程調整についてご連絡いたしました。
その後、改めてご連絡を差し上げましたが、残念ながら弊社でお返事を確認することができておりません。
つきましては、誠に恐縮ではございますが、今回は選考を見送らせていただくことといたしました。
なお、お預かりしております応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄させていただきます。
○○様の今後一層のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
【署名】
自社からの連絡を無視した人材に対して、丁寧なメールを送ることに抵抗がある担当者の方は多いでしょう。
しかし、そのような人材であっても、自社の将来の顧客・取引先になる可能性があることから、選考見送りの連絡まで丁寧に行うことが大切です。
まとめ
Indeedの調査によると、採用担当者の多くが応募者と連絡が取れなくなる「ゴースティング」を経験しています。
ゴースティングが生じる原因として、応募者が他社に採用されたケース以外にも、何らかの形で応募者が「自社で働くことに不安を感じている」状況が想定されます。
少しでも多くの人材を確保するためには、連絡手段の多様化、リマインドを含む日程調整のこまめな連絡、選考プロセスの早期化などの方法を検討する必要があるでしょう。
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