アルバイトの時給アップに関する人事担当者調査【2024年度】
2024年8月現在、アルバイト・パートを雇用している人事担当者161人に聞いた「アルバイト・パートの時給アップ、待遇改善」に関する調査結果をレポートします。
2024年の最低賃金は過去最高の上げ幅となりますが、アルバイト・パートにおける時給アップや待遇の改善は、どの程度取り組まれているのかをアンケートしました。
貴社の賃金や待遇の改善のヒントになれば幸いです。
【調査概要】
調査名:「アルバイト・パートの時給アップ、待遇改善に関する人事担当者調査」
調査期間:2024年8月1日~8月9日
調査方法:メール配信によるアンケート
調査対象:人事・採用担当者 161名
※2024年の最低賃金額は50円UPし、全国平均は1054円。東京は改定後1163円になる見通し
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サマリー
・「2023年に賃金アップ済み」と「2024年に実施予定」合わせて62.1%
・上げ幅は「最低賃金に合わせる」23.8%、「時給50円以上時給70円未満」22.1%
・賃金アップの理由は「最低賃金に合わせるため」と「採用力強化」
・「2022年に勤務条件緩和・改善済み」と「2023年に実施予定」合わせて32.3%
「改善予定はない」は52.2%
・改善・緩和した内容TOPは、「勤務時間やシフトの融通」で30.1%、続いて「休日・休暇の取得」で21.2%
昨年に続き、最低賃金のアップや採用難を受けて、アルバイト・パートの時給アップに取り組んでいる企業が6割以上という結果となりました。
昨年に続き過去最大の上げ幅となった今年は、昨年すでに時給アップに取組んだ企業も多いため、「最低賃金に合わせる」という理由も多く回答がありました。
一方で、給与以外の勤務条件や待遇改善では、「勤務時間やシフトの融通」が最も多く、フルタイムで働けない事情がある方に配慮した結果、応募が増えたという回答が目立ちました。
今後、さらに人材不足が加速する中で、採用力の強化に取り組む企業とそうでない企業で二極化していく可能性があります。
周囲の給与相場や勤務条件をウォッチしながら、自社の採用力強化に取り組んでいくことが求められています。
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2023年に賃金アップ済み、2024年に実施予定、合わせて62.1%
Q1.現在のアルバイト・パートスタッフ採用についてのお悩み・課題について教えてください。(複数選択)
まずはアルバイト・パートスタッフ採用の悩みについて伺ったところ、最も多かったのは「応募数が少ない」で57.8%、続いて「応募はあるが、自社が求めている人材が来ない」が39.8%となりました。
Q2.貴社のアルバイト・パートスタッフの賃金アップ(ベースアップ)の状況について教えてください。(単一選択)
賃金アップ状況についての質問では、「2023年から現在までにすでに賃金アップ済み」という回答が32.9%と最も多い結果となり、続いて「2024年中に賃金アップ予定」が29.2%となりました。
明確に「現時点で賃金アップは考えていない」と回答している企業は、わずかに4.3%です。
周囲の状況をウォッチしつつ、時給アップを常に検討する企業の様子が伺えます。
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上げ幅は「最低賃金にそろえる」が23.8%で最多
Q3.「賃金アップ済、もしくは検討中」と回答した方へ伺います。時給をいくら上げた、もしくは上げる予定でしょうか?(単一選択)
「賃金アップ済み」「アップ予定」の方へ、どのくらい上げたかを聞いたところ、「最低賃金にそろえる」が23.8%で最多となりました。
続いて、「時給50円以上時給70円未満」が22.1%です。
Q4.「賃金アップ済、もしくは検討中」と回答した方へ伺います。時給の上げ幅はどのように決めましたか?(単一選択)
最も多かったのは、「最低賃金にそろえた」36.8%ですが、「競合他社と同じくらいの相場にそろえた」35.1%、「競合他社よりも優位になるようにアップした」15.8%という結果です。
上げ幅については、競合を意識して決定した企業も多かったようです
アルバイト・パートを多く雇用している企業にとって、ベースアップは大幅な人件費アップとなるため、慎重な見定めが必要となります。
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賃金アップの理由は「最賃アップ」と「採用力強化」
Q5.「賃金アップ済、もしくは検討中」と回答した方へ伺います。賃金アップをした理由(する理由、検討する理由)について教えてください(複数選択)
「賃金アップ済み」「アップ予定」の方へ、その理由について聞いたところ「法律に抵触しないように最低賃金に合わせるため」52.5%、「採用時の競争力強化のため」37.5%、「離職防止(定着率アップ)のため」35.8%といった結果になりました。
最低賃金アップという外的な要因と、採用力強化といった内的な要因の双方が理由で踏み切っていることが分かります。
今後も、
- 政府方針により最低賃金はアップしていくことが想定されること
- 労働力不足はさらに進み、採用競争が激化する
この2点を背景に、賃金アップの傾向は続いていくと思われます。
※2023年の最低賃金引上げはいつ?近年の賃金改定の傾向や最低賃金の計算方法も解説!
Q6.「現時点で賃金アップは考えていない」と回答した方へ、伺います。賃金アップをしない理由について教えてください(複数選択)
「現時点で賃金アップは考えていない」と回答した方はわずか4.3%でしたが、その理由について伺いました。
回答が多い順に「既に他社と比較して競争力のある時給のため」71.4%、「業績の先行きに不安があるため」が28.6%でした。
上記の結果から、ほとんどの企業が賃金アップを検討していることが見て取れます。
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「2023年に勤務条件緩和・改善済み」と「2024年に実施予定」合わせて32.3%
Q7.貴社のアルバイト・パートスタッフの勤務条件の緩和・改善について教えてください。(単一選択)
続いて、時給アップ以外の勤務条件の緩和や改善について質問しました。
「①2023年~現在で、勤務条件を緩和・改善済み」と回答したのは、29.2%、「②2024年中に勤務条件の緩和・改善を予定」は3.7%となり、合計して32.3%となりました。
「現時点で、勤務条件の緩和・改善は考えていない」が52.2%と最多の回答で、時給アップと比較すると、勤務条件の緩和や改善については実施されていないといった結果になりました。
改善・緩和した内容TOPは、「勤務条件やシフトの融通」で6割
Q8.「勤務条件の緩和・改善を実施済み・検討中」回答した方へ質問です。改善・緩和した内容すべてを選択ください。(複数選択)
「①2022年~現在で、勤務条件を緩和・改善済み」
「②2023年中に勤務条件の緩和・改善を予定」
「③勤務条件の緩和・改善を検討中(時期は決まっていない)」
と回答した方へ、回答いただきました。
「勤務時間やシフトの融通」が62.8%と最も多く、続いて「休日・休暇の取得」43.4%、「資格や経験などの応募条件の緩和」27.6%という結果となりました。
主婦や学生がメインであるアルバイト・パートスタッフにとって、「勤務時間やシフトの融通」は仕事選びの非常に重要な要素の一つです。
求職者が応募しやすい条件に緩和することで、応募数を増やしたいという狙いが見て取れます。
Q9.具体的に緩和した内容と、すでに実施している場合はその効果について教えてください。(フリー回答)
- パートさんの就業時間を一人一人都合に合わせて採用を行っている
- 勤務時間の融通、髪の毛の色などの緩和を検討中
- 勤務時間について家族の事情で当初の契約より短くしたいという相談があり、勤務時間を短くすることで離職を防ぐことができた。
1時間単位で時間有給を取れるようになったことは喜ばれている。 - 休日120日以下だったところを土日休みにして120日とした
- 未経験OK→雇用の範囲が広がった
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他社にない魅力を打ち出していきましょう
調査結果から、時給アップをはじめ、様々な勤務条件・待遇改善に取り組んでいる企業の姿が浮かび上がってきました。
コロナが明けて、ますます人材競争が激化しています。
多くの求人情報の中から、自社を選んでもらうためには、自社にしかいない魅力を打ち出していく必要があります。
求職者にとって、非常に分かりやすい魅力が「給与」であり、「勤務条件」や「待遇」などです。
一方で、それだけがそこで働く魅力ではありません。
自分たちが気が付いていない、自社の魅力を発見して、求職者に伝えていくことが大事です。
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