採用戦略の立案方法|分析方法(フレームワーク)や事例についても解説

採用戦略の立案方法|分析方法(フレームワーク)や事例についても解説
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採用を急ぐあまり、採用の軸が決まらないまま採用活動を進めてしまうと、かえって非効率になるおそれがあります。

採用難の時代を迎えた日本において、欲しい人材に自社を選んでもらうためには、採用戦略の立案と定期的な見直しが必要です。

この記事では、採用戦略の概要や立案のメリット、計画のフローや分析方法、注意点、事例について解説します。

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採用戦略とは

採用戦略とは、企業が欲しい人材を獲得するために、具体的な基準・方針を定めたものです。

採用戦略を立てることで、自社が欲しい人材につき、計画的・効率的に獲得しやすくなることが期待されます。

企業の成長にとって、優秀な人材の存在が重要なファクターとなります。安定した成長・大きな進化・停滞の打破など、企業が求める方向性に応じて、必要な人材のタイプも異なります。

また、企業が人材不足に陥っている場合は、欠員募集という形で即戦力を確保するのか、それとも将来を見越して新人を育成するのかによって、採用のベクトルも変わってきます。

採用戦略は、こういった「企業側の採用ニーズ」に沿う人材を確保するための戦略で、具体的な施策を講じる際の軸となるものなのです。

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採用戦略の立案によって得られる4つのメリット

採用戦略を、自社にとって適切な形で立案することで、企業の採用活動がはかどります。

以下、採用戦略の立案によって得られるメリットについて、主なものをご紹介します。


採用効率アップ

採用戦略立案により、どんな人材を探すべきなのかが明確になるため、採用効率をアップさせることにつながります。

具体的には、

  • 採用手法や媒体の選定 
  • 採用ペルソナ設計・採用ターゲットの明確化 
  • 採用コストや費用対効果の算出


上記のような採用業務を順調に進められるでしょう。

自社で想定していた成果が出なかった場合に、なぜそのような結果となったのか、採用戦略に照らし合わせて見直すことができます。

また、市場に存在する「自社に興味を持って欲しい求職者」に向けたアピールがスムーズになります。

単純に応募者数を増やすだけでなく、応募段階で自社のニーズに合致する人材にアプローチできる点において、採用戦略は役立ちます。


早期退職・ミスマッチの防止

採用戦略を立案する流れの中で、自社が欲しい人材像を具体化するプロセスがあります。

その際、自社の長所・短所を洗い出した上で、どんな人材が活躍できそうか具体的にイメージしなければなりません。

自社にマッチする人材像をイメージして、採用担当者や面接官等に共有することにより、選考段階で自社に合わない人材を事前に間引くことができます。

その結果、早期退職・ミスマッチの防止につながるため、安定して戦力を確保できるのです。

【早期退職の防止に!】カルチャーフィット導入のステップや人材の見極め方を解説!


良質な母集団形成

大手採用媒体など、ライバルが求人広告を出している媒体を利用していると、どうしても自社の広告を見てもらえる回数は少なくなります。

選考が実施できるレベルの応募者が集まらないと、コストだけがかさんでしまい、やがては採用をあきらめなければならない事態に陥る可能性があります。

採用戦略を立てておくことで、自社が欲しい人材がよく見るであろう媒体を選んだり、アピールポイントを絞った求人広告を作成したりするのが容易になります。

自社とのマッチング度が高そうな人材を集めることで、良質な母集団形成を実現できるでしょう。


自社の組織力をより強固にできる

採用活動は、人事側の都合だけではなく、実際に働く部署・経営者の意向も踏まえながら進めていかなければなりません。

お互いの意見が交わらないまま採用した人材は、ミスマッチの原因になるため、採用戦略を立てることで価値観を統一する必要があります。

その過程で、採用担当者・部署責任者・経営陣の意見をすり合わせることができるので、お互いの意識を向上させつつ連帯感が保たれます。

すべてのセクションで人材採用への意識が高まることによって、自社の組織力をより強固にすることが期待できます。

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採用戦略の立案の流れ

実際に採用戦略を立案していく場合、次のような流れで進めていくケースが多く見られます。

○採用戦略の立案チーム結成
フレームワークによる現状分析
採用ペルソナ設計
採用スケジュール設定 
自社のブランディング 
採用施策の決定

以下、それぞれのプロセスについて解説します。


採用戦略の立案チーム結成

採用戦略は、人事・採用担当者が一人で考えるものではなく、複数の部署を巻き込んで立案すべきものです。具体的には、

○自社の全容を把握している経営陣 
○人材を採用する予定の部門責任者 
○人材を採用する予定の部門と、連携をとって仕事をする部門の責任者

上記のポジションに位置する人を巻き込みながら、人事・採用担当者がヒアリングを行う形で、採用戦略を立案します。

この段階での注意点として、会社全体で採用ノウハウに乏しい状況の場合、効果的な採用戦略の立案につながらないおそれがあります。

その場合は、採用コンサルティングの支援を受けることや、採用に注力するためアウトソーシングを活用することなどを検討しましょう。


フレームワークによる現状分析

チームが結成されたら、次は自社の現状分析を試みます。主に、以下のポイントを押さえつつ、分析を進めていきます。

○求職者・採用市場のニーズ 
○採用活動の結果(過去に自社が行ったもの)
○採用面で現在課題としていること
○自社のストロングポイント・ウィークポイント 
○競合他社の動き


現状分析の段階では、フレームワークに沿って現状を把握するのが有効です。

採用活動にマーケティングのフレームワークを取り入れた考え方は「採用マーケティング」と呼ばれ、求職者が自社に持つイメージの向上や、有効な採用手法の検討などに役立ちます。

以下、採用戦略の立案で役立つフレームワークをいくつかご紹介します。


ファネル分析
ファネルとは「漏斗(じょうご)」のことで、採用プロセスを以下の4つ(ファネル)に分けて、データを分析していきます。


ファネル
基準となるデータ
認知
○求人媒体の閲覧数
○求人媒体の閲覧数
興味○募集要項ページのアクセス数
○イベント参加人数
○採用サイトにおけるリピーター率 など
応募○応募者数
○スカウト成功数 など
選考○選考中の離脱率
○内定承諾率
○入社率 など


プロセスの対象人数は、認知>興味>応募>選考の順に少なくなっていき、収集するデータにも違いがあります。

ファネルごとに歩留まり率を計算することで、これまでの採用活動における問題点が、どのファネルにあるのかが分かります。

ファネル分析を用いる目的は、採用プロセスにおけるボトルネック(つまずき)を発見するためです。

過去の採用プロセスにまつわるデータを見直しながら、どのファネルに問題があるのかを確認し、改善案を検討していくイメージです。


3C分析

3C分析は、以下の3つの項目に沿って、自社をめぐる採用市場の現状分析を試みるためのフレームワークです。

項目(3C)分析対象
Customer(顧客)○有効求人倍率
○求職者のニーズ・価値観
※(後述する「採用ペルソナ」の設計にも重要)
Competitor(競合)○業界におけるポジションまたは市場シェア
○採用状況・採用数
○求人広告の中身や求人展開から読み取れる採用施策
○競合他社のストロングポイント・ウィークポイント
※(求職者のニーズに対して、競合他社がどうアプローチしているのかチェック)
Company(自社)○過去の採用人数
○自社を差別化できるストロングポイント
○採用戦略において改善すべきウィークポイント


それぞれの項目を照らし合わせながら分析することで、自社の採用市場における立ち位置や、際立たせたいポイントが見えてきます。

自社の美点と弱点を明確にしつつ、どこに注力するのかを検討する上で役立ちます。


SWOT分析
SWOT分析は、以下の4つの観点から、自社について詳細な分析を行うためのフレームワークです。

フレームワークに書き込む際は、特定の課題について分析する形をとるのが一般的です。

例えば、地方の中堅企業で「若手女性事務員の採用が難しくなってきている」場合は、以下のようなイメージで分析を試みます。

-プラス要因マイナス要因
内部環境Strength(自社の強み)
○20~30代の採用人数は多い
○社員の平均勤続年数は5年以上で、同業他社に比べて転職者そのものはそれほど多くない
Weakness(自社の弱み)
○寿退社の制度はあるものの、産休後に復帰してくれる社員はほとんどいない
○一度離職した後、復職を希望する社員が納得する仕事を提供できない
外部環境Opportunity(外部の機会)
○Web会議ツールでのやり取りが、自社でも一般的になってきている
○ECサイト運営が軌道に乗り始めており、販売部門のスタッフをサイト運営に回している
Threat(脅威)
○地域の人口は減少傾向にあり、今後も新規で20代の女性社員を安定して確保するのは厳しい
○在宅ワークを進めている同業他社の給与体系が、自社の女性社員の給与水準よりも上になっているケースが見られるようになった



自社の事情によって、それぞれのマスを埋める要素は異なりますが、一つの課題について深く掘り下げることで、自社の課題や改善点が見えてきます。


採用ペルソナ設計

現状を分析して、採用における課題を見つけ出したら、次はそれを解決に導くための人材について検討します。

アプローチとしては、性別・年齢・実務経験から幅広く人材を求めるための「ターゲット」を構築する方法と、それに加えて家族構成・趣味・居住地・年収・価値観などの情報を加えて作り込む「ペルソナ」を設計する方法があります。

現代の採用事情では、数多くの人材の中から一人に絞り込むのではなく、採用したい人材像を具体化してから採用手法を選択する「採用ペルソナ」を設計する流れが一般的です。

採用ペルソナを設計する際は、経営陣・各部署にヒアリングしながら、採用要件を決めていきます。

ターゲット人材に求めるものが可視化されていく中で、どのようにアプローチをかけるべきか具体的なプランが決まり、同時に面接官の間で確認事項を共有できます。

注意点として、採用ペルソナを作り込む過程では、採用後の人事戦略も見越して人材像を設計することが重要です。

自社で採用後、社内教育や現場への順応がスムーズにいくことを想定しつつ、設計にあたりましょう。

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採用スケジュール設定

新卒採用では、部活動の引退時期・公務員試験の合格発表以降を狙って、採用スケジュールを設定している企業が多いでしょう。

しかし、中途採用の場合は募集するタイミングが一定でないため、タイムリミットに間に合うようスケジュールを立てなければなりません。

最優先すべきポイントは、

○どんな人材を
○いつまでに 
○何人採用するか


を明確にすることです。

仮に、10月入社を想定して人材を募集する場合は、その人材が現職で退職する際の交渉・業務引継ぎ期間も考慮して、9月もしくは8月に内定を出しておきたいところです。

となると、選考は7月末までに終えていなければならないので、6月から採用活動をスタートさせるとしたら、2ヶ月の間に書類選考と面接を進める必要があります。

さらに、説明会をはさむのであれば、その時期もカウントして考えなければなりません。

説明会を行う際は、タイミングが競合している他社とかぶらないよう、多方面に配慮してスケジュールを組むことが大切です。

【採用担当者必見】効果的な採用計画の立て方や準備、ポイントを解説!


自社のブランディング

ここまでのプロセスで、自社の分析とペルソナ設計・スケジュール設定まで順当に進めたら、いったん自社の強みをあらためて見直してみましょう。

・本当にこれが自社の強みと言えるのか
・同業他社に負けない要素となり得るのか
・求職者にとって魅力的に映っているか


一つひとつ、これまでのプロセスを疑いの目で見ることにより、他社との差別化につながっているかどうかを判断していきます。

求める人材像とペルソナが一致していて、そのペルソナのニーズに応えられる自信があれば、施策にも説得力が生まれます。その後、採用コンセプトとして自社の強みを整理し、具体的な施策を決定していきます。

採用ブランディングとは?メリットや背景、導入の手順をわかりやすく解説


採用手法の決定

どんな人材が欲しいか、自社の採用コンセプトは何かが決まったら、どの採用手法で訴求するのか決めていきます。

一口に採用手法といっても、一般的な求人・転職サイトに求人情報を掲載するものもあれば、SNSなどを使って地道に人材を探すものもあります。

それぞれの手法にはメリット・デメリットがあり、採用ペルソナに刺さる手法も異なることが予想されるため、自社に適した方法を採用することが重要です。

もし、どの手法にすべきか迷うようであれば、複数の手法を使って効果を確かめながら、良い結果が出ている方法を採用するのがよいでしょう。

最新の中途採用手法のトレンドは?主要な手法14種類を徹底比較

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採用戦略を実施する際の注意点

ここまでお伝えしてきた流れで採用戦略を立案し、具体的な行動に移したとしても、すぐさま結果につながるとは限りません。

採用戦略が現実から大きくズレてしまわないよう、以下の点に注意しましょう。

・ 自社の魅力を求職者目線で把握する
・ 採用戦略を社内で共有する
・ PDCAサイクルを回す
・ 採用担当者のスキル向上に意識を向ける


自社の魅力を求職者目線で把握する

自社の魅力につき、自社目線で把握することは、それほど難しくないかもしれません。

しかし、求職者の多くはあなたの会社のことを知らないため、採用側は「求職者目線で自社の魅力はどのようなものか」考えるよう意識したいところです。

求職者目線を意識する上で役立つのは、かつて「求職者側だった」人材の意見です。

最近自社で働き始めた人材から意見を聞いて、求人情報のどの部分を魅力に感じたのかチェック
するのがよいでしょう。

社風や人間関係・職場の雰囲気などを求人票に書き込む際は、リアルな情報を伝えるようにします。

忙しいことを隠すよりも、忙しくもやりがいのある職場であることをアピールした方が、自社が欲している人材の心に響きやすいはずです。


採用戦略を社内で共有する

採用戦略を立てる際は、経営陣・関係部署・人事の間での連携が重要です。

しかし、立案後は「企業としての課題」として、社内全体にアナウンスする機会を設けましょう。

直接関係する部署以外にも連絡がいくことで、採用の問題を他人事としてとらえる社員が少なくなり、協力体制の構築につながることが期待できます。


PDCAサイクルを回す

採用戦略は、一時的なものではなく、中長期的な視点から実施するものです。

どのような戦略でもそうですが、計画通りに物事が進むことの方が珍しく、多くの場合は効果を検証していく必要があるでしょう。

年度・半期・四半期など、企業それぞれのタイミングでPDCAサイクルを回し、改善を継続することが大切です。

指標に関しては、応募者数・内定者数などのほか、定着率・離職にも注目しましょう。

採用における自社のアクションが本当に正しかったのかどうかは、時間の経過とともに分かる問題なので、新しい人材については採用後の状況も把握しておきたいところです。

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採用担当者のスキル向上に意識を向ける

採用戦略にもとづいて、数多くの面接を経験していくうちに、採用担当者にはノウハウが蓄積されていきます。

面接の場面では、自社の採用要件と合致しているかどうか確認するだけでなく、自社の強みを明確にアピールすることも必要です。

応募者は、一人ひとり性格・考え方が異なりますから、どういう表現が正しかったのかは過去を振り返るしかありません。

どんなやり取りが上手くいったのか、成果につながらなかったコミュニケーションの例はどのようなものか、データを集めてスキル向上につなげていくことが大切です。

初めて面接官を務める際の心得|役割・適性・選考時のポイント等を徹底解説


中小企業での採用戦略事例

実際に中小企業で採用戦略を立てるには、事例から学ぶのが近道です。

以下、日本国内の中小企業が、採用戦略を立てたことで目標達成につながった事例をいくつかご紹介します。


自社のブランドイメージをベースにターゲットを拡大

A社では、自社アウトドアブランドの営業・商品企画担当者を募集するにあたり、対象者を営業経験者に絞っていました。

しかし、販売職の転職活動が活発化していることを鑑み、アウトドアショップの商品販売を経験している人材も対象者に含めた結果、応募者増につながりました。

また、営業担当者がアウトドア商品の開発に携われることをアピールし、アウトドア好きな求職者を意識した求人広告を展開。

顧客から把握したニーズを商品開発にフィードバックするという、営業・販売経験を活かせる具体的な働き方を提案できたことで、欲しい人材の獲得に成功しています。


職種ごとにターゲットを絞り込む

B社では、2つの職種を1つの求人広告で募集するつもりで、媒体を選んでいました。

しかし、中途採用者には「実務経験に合った職種を選ぶ」傾向があることを把握してから、職種ごとに内容の違う2種類の広告を運用します。

さらに、広告に写真や社員インタビューなどを加えることで、求職者に自社の雰囲気を分かりやすく伝えることに成功。

その後、30代のスタッフ1名・40代のスタッフ2名の採用に成功しています。


他社との差別化ポイントをアピール

食品メーカーのC社では、SEを募集するにあたり、首都圏などの同職種の求人と比較されると不利になることを理解していました。

そこで求人広告では、アットホーム・社員を大切にする環境であることをアピールし、意図しない転勤がないことを強調しています。

遠方からの応募者に関してはWeb面接を行いましたが、最終面接は自社の雰囲気を感じてもらうために対面での面接を実施。

人を大事にするイメージを伝えることに成功し、見事首都圏の人材を採用するに至りました。


まとめ

適切な形で採用戦略を練ることができれば、採用効率アップやミスマッチの防止など、企業の採用活動にとって多くのメリットがあります。

しかし、戦略は一度立案して終わりではなく、目標が達成されるまでは、その後も継続して見直しをかけていかなければなりません。

採用戦略は立案できたものの、それを求人広告として表現するのが難しい場合は、中小企業向け採用サービス”ワガシャ de DOMO”をご利用ください。

創業50年の求人サービスで培ってきたノウハウをもとに、プロが求人記事の作成から運用までを代行いたします。

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ヒトクル編集部
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ヒトクル編集部

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