アルバイト雇用時は労働基準法を遵守しよう|トラブル回避についても解説

アルバイト雇用時は労働基準法を遵守しよう|トラブル回避についても解説
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労働基準法は、基本的に雇用形態を問わず適用される法律のため、使用者はアルバイト雇用時も労働基準法を遵守しなければなりません。

近年では、従業員が労働基準法・労働契約法等の法令に関する知識を得ることが簡単になっており、企業の労働基準法違反がSNS等で拡散され炎上するリスクも生じています。

この記事では、労働者との労働基準法上のトラブルを避けたい経営者・人事担当者の方向けに、アルバイトスタッフの雇用において注意すべき労働基準法のポイントについて解説します。

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労働基準法におけるアルバイトの労働時間・割増賃金について

労働基準法における労働者の定義は「事業または事業所に使用され賃金を支払われる者」となっており、正社員・アルバイトで違いは設けられていません。

しかし、アルバイトスタッフは正社員と雇用条件・雇用の背景等が異なるため、雇用後は「労働時間」・「割増賃金」について特に注意が必要です。

以下、具体的な注意事項をまとめました。


18歳未満の法定労働時間

労働基準法は、罰則も含め全13章の構成となっています。

その中で、労働契約や賃金・休憩など、労働者を働かせるにあたり「使用者が最低限守らなければならない」ことがまとめられています。

法定労働時間についても同様で、労働基準法第32条において、使用者は労働者に「1日8時間超・1週間40時間超(休憩を除く)」の労働をさせてはいけないこととなっています。

注意点は、このルールが18歳以上の労働者につき適用されることで、18歳未満の未成年は22時~翌5時の深夜労働が禁止されています。

飲食店等で、高校生をアルバイトとして雇用することを考えている場合、22時以降に就労させないようシフトを組む必要がある点に注意しましょう。

労働基準法等の法律における労働時間|人事労務が押さえておきたいポイント


アルバイトの残業時に支払う割増賃金

労働基準法における割増賃金の規定は、労働者の雇用形態にかかわらず適用されます。

よって、法定労働時間外でアルバイトスタッフを働かせる場合は残業扱いとなり、そのスタッフに割増賃金を支払わなければなりません。

具体的には、通常賃金を25%割増して賃金を支払うことになるため、仮に通常時の時給が972円で合った場合、25%を割増して1,215円を支払う計算です。

深夜労働時の割増賃金は、時間外労働と同様に25%以上の割増が必要で、法定休日出勤に関しては35%割増となります。

過去には残業を行わせたにもかかわらず、残業手当(割増手当)を支払わなかった企業が書類送検された例もあることから、労働者とのトラブルを避けるため、労務担当者は注意して割増賃金の計算を行う必要があります。


アルバイトの休憩時間

労働基準法におけるルール上、使用者は労働者に対して、6時間を超えて勤務した場合は45分以上・8時間を超えて勤務した場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。 

また、労働時間の途中に与えるのであれば、45分の休憩を「30分+15分」という形で分けるなど、複数回に分けての休憩も認められています。

アルバイトスタッフの場合、フルタイム勤務になるケースが比較的少ないことから、現場責任者は労働時間による休憩時間の違いに注意しましょう。

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アルバイトの有給取得も正当な権利

アルバイト経験が少ない労働者の中には、アルバイト先で有給休暇を取得できることを知らない人もいるようです。

しかし、雇用形態を問わず、次の条件を満たしている人はアルバイトでも有給休暇を取得できます。

  • 雇用された日から6ヶ月が経過している(継続して勤務している)
  • 定められた全労働日の8割以上出勤している
  • 週所定労働日数が1日以上、または1年間の所定労働日数が48日以上である

アルバイト雇用の経験がなく、これから初めてアルバイトを雇う使用者の方も、上記内容はしっかり頭に入れておく必要があるでしょう。

実際に付与される有給休暇の日数は、アルバイトスタッフの労働日数・労働時間により異なります。

例えば、週30時間以上の労働なら初年度は年間10日ですが、週所定労働日数が4日・週所定労働時間が30時間未満の人は7日となります。

また、週30時間以上の労働に従事しているスタッフの場合、雇用された日から1年6ヶ月・2年6ヶ月までは1年に1日ずつ、それ以降は1年に2日ずつ増えて有給休暇が付与されます。

ただし、上限は20日間で、消化できなかった有給休暇の繰り越しは翌年までというルールがある点に注意しましょう。

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アルバイトの有給期間における賃金はどう計算する?

アルバイトスタッフが有給を取得した場合、有給休暇取得日の賃金計算は、労働基準法第39条第9項に従い次の3つの選択肢から選ぶことになります。

  • 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  • 平均賃金(最低保証額あり)
  • 標準報酬日額により算出する方法

どの方法を採用するのかについては、使用者が選択した上で、雇用契約・就業規則等にあらかじめ明記しなければなりません。


使用者側が持つ有給取得上の権利について

原則として、有給休暇は労働者が取りたいタイミングで取得するものですが、有給休暇の取得が正常な業務を妨げるおそれがある場合、使用者は休暇の取得時期を変更させることができます。

この権利のことを「時季変更権」といい、アルバイトスタッフにも時季変更権は適用されます。

しかし、使用者の自由に時季変更権を行使することはできず、単純に繁忙期やスタッフ不足を理由に変更することは認められません。

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アルバイト雇用での労働基準法違反例

アルバイトスタッフの雇用は、正社員等の雇用に比べて柔軟に検討できる反面、使用者の知識不足から労働基準法違反に至る例も少なくありません。

以下、アルバイト雇用における、労働基準法の違反例をいくつかご紹介します。


有給申請を認めない

有給休暇の申請は、条件さえ満たしていれば、雇用形態にかかわらず認められます。

そのため、アルバイトスタッフであることを理由に有給申請を認めなかった場合、使用者には30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。


不適切な勤怠管理

アルバイトスタッフの給与は、時間給で計算されるため、勤務時間の管理が不適切な職場ではトラブルが起こりやすくなります。

例えば、タイムカードなど出退勤の記録ができるツールがない場合、手書きによる自己申告で出退勤時間を管理することになり、労働時間の改ざんなどが行われるリスクが高くなります。

スタッフ本人が誤解することも考えられるため、勤怠管理に関しては、スタッフを混乱させないようルールを決めましょう。


極端な制裁(ペナルティ)

就業規則に懲戒処分に関する規定があり、その内容が周知されていれば、アルバイトスタッフへの懲戒処分を行うことは可能です。

しかし、労働基準法第91条では、労働者の減給につき次のルールを定めています。

  • 1日の減給額が平均賃金1日分の半額を超えないこと
  • 減給の総額が「1賃金支払期」につき賃金総額の1/10を超えないこと

例えば、欠勤が続いたスタッフにつき、その月の給与を一気に半減して支給することは認められません。


最低賃金を下回る

最低賃金法第4条では、使用者が労働者に対して「最低賃金額以上の賃金」を支払わなければならないことが定められています。

そのため、研修期間中、または能力が周囲のスタッフと比べて低いなどの理由から、最低賃金を下回る賃金を支払うことは認められません。


解雇トラブルで「アルバイトを解雇できる」ケース

使用者の一存でアルバイトスタッフを解雇することはできませんが、勤務態度の悪さ・店舗の業績不振・試用期間終了などを理由に解雇することは可能です。

ただし、14日を超える試用期間の終了にともなう解雇に関しては、解雇予定日の30日以上前に伝えておく点に注意しましょう。

雇用契約書を取り交わし、解雇されるケースの詳細についてもアルバイトスタッフに伝えておくと、解雇トラブルを未然に防ぐことにつながります。

【トラブル防止】アルバイト・パート社員の解雇方法や注意点、不当解雇の事例を解説!


「賃金支払いの5原則」も押さえておこう

アルバイトを雇用するにあたり、使用者が誤解しがちなポイントの一つに、賃金の支払い方があげられます。

特に「賃金支払いの5原則」に関しては、誤解しないよう注意したいところです。

労働基準法第24条では、賃金の支払い方法について、以下の5原則を定めています。

  • 通貨で支払うこと
  • 労働者に直接支払うこと
  • 支払うべき全額を支払うこと
  • 毎月1回以上のタイミングで支払うこと
  • 一定の期日に支払うこと

上記の原則に従う場合、例えば店の売上が芳しくないことを理由に、商品等を実物支給したり給料日を遅らせたりするのはNGです。

もし、「正社員はNGでアルバイトはOK」といった形であいまいに理解していた場合は、ただちに意識を改めましょう。


トラブルを回避する3つのポイント

アルバイトスタッフとのやり取りで、何らかのトラブルが発生した場合、複数のケースが考えられます。

当然ながら、何か1つの対策ですべてを防止できるわけではありませんから、使用者としては最低限、以下の3つのポイントを押さえておきたいところです。


雇用契約書の作成および説明は入念に

雇用契約書は、使用者と労働者がお互いに「この条件で雇用契約を結びます」と納得して取り交わすものです。

人事の現場では、交付義務のある労働条件通知書と組み合わせた「労働条件通知書兼雇用契約書」として、それぞれの書類を兼用するケースも多いでしょう。

雇用契約を結ぶ際は、契約が無効にならないよう、労働基準法に沿った内容にする必要があります。

具体的には、契約期間・就業場所・業務内容・休憩・休暇など、労働条件通知書に必ず記載しなければならない項目を雇用契約書に盛り込みます。

また、アルバイト雇用の場合、パートタイム労働法にのっとって、次の内容も盛り込む必要があります。

  • 昇給・賞与の有無
  • 退職手当の有無
  • 相談窓口(担当部署・担当者名・電話番号)

法令を遵守し、しっかりと手順を踏むことで、アルバイトスタッフに納得感・安心感を与えることができるでしょう。

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試用期間を設ける

試用期間は、アルバイトスタッフを正式に採用する前に、いわゆる「お試し」という形で結ばれる雇用契約です。

試用期間を設けることには、使用者・労働者ともにメリットがあり、お互いにフェアな条件で雇用契約を継続しやすくなります。

使用者は、採用した人材に実務を任せた上で、能力や勤務態度を確認できます。

労働者は、業務内容が給与と見合っているか、勤務時間が厳しいものでないかなど、労働条件を肌で感じた上で本採用に進むかどうか判断しやすいでしょう。

試用期間とは|設定期間(半年・3ヶ月等)や解雇要件など幅広く解説


厚生労働省「総合労働相談コーナー」に相談する

人間同士が働く以上、トラブルの発生は避けられないものと考えた方が賢明です。

よって、万一トラブルが発生したことを想定して、いざという時の相談窓口を知っておくと安心です。

例えば厚生労働省は、全国の労働局・労働基準監督署に「総合労働相談コーナー」を設置しています。

総合労働相談コーナーでは、次のような様々な分野の労働問題を対象として、解決のための情報提供をワンストップで行っています。

  • 解雇
  • 雇止め
  • 配置転換
  • 賃金の引下げ
  • 募集・採用
  • いじめ・嫌がらせ
  • パワハラ

相談は無料で、労働者・事業者いずれの相談も受けられます。
スタッフ間のいじめなど、アルバイト同士の問題に関しても、専門の相談員による対応が期待できます。


まとめ

アルバイトスタッフは、正社員に比べると比較的柔軟に採用・雇用できる反面、気を付けたい点もあります。

年齢や賃金・有給休暇など、労働基準法に則った正しいルールの運用が求められますから、くれぐれも法令に違反しないよう注意しましょう。

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ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長
監修した人
杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。 
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。