【早期退職の防止に!】カルチャーフィット導入のステップや人材の見極め方を解説!

【早期退職の防止に!】カルチャーフィット導入のステップや人材の見極め方を解説!
目次

少子高齢化や転職の一般化に伴い、企業では「カルチャーフィット」を重視した採用が増加しています。
早期退職の減少や離職率の改善効果が期待できる選考基準ですが、どうすれば採用に取り入れられるのでしょうか。

本記事ではカルチャーフィットの概要や注目されている背景、導入のメリットやデメリット、そして採用活動に活用するためのステップも解説します。

離職率改善や早期退職防止を行いたい方、企業の生産性や成長性を高めたい方は、ぜひ一度ご確認ください。

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カルチャーフィットの概要について

カルチャーフィットは、求職者の価値観と企業の文化(=Culture)が適応している状態です。近年多くの企業が、求職者の価値観と企業文化が合っているかを採用活動時にチェックするようになりました。

その理由は、早期退職の防止や活躍できる人材の確保が根底にあります。

これまでの採用活動では、カルチャーフィットとは対照的な「スキルフィット」による採用選考が重視されてきました。

スキルフィットは個人の能力に焦点を当てた判断基準であり、業務をこなせるスキルがあるかをチェックします。

基本的に採用活動においては、カルチャーフィットとスキルフィットの両方が高い人材を雇用するのが理想です。カルチャーフィットは高くても能力が低ければ、期待通りの成果を出してもらうのは難しいでしょう。

逆にスキルフィットが高くても企業文化と個人の価値観が合わなければ、早期退職などが発生し、お互いの損失に繋がる可能性が高まります。

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カルチャーフィットが注目されている背景

カルチャーフィットが注目されている背景には、主に下記の3つの要因があります。


① 中途採用での人材獲得の普及

以前の日本企業では、終身雇用による勤務体系が基本的な働き方でしたが、転職に対する抵抗が薄れ中途採用が一般化しました。

中途採用者には即戦力としての働きが必要であるため、スキルフィットでの採用を重視する必要があります。

しかし、一方では企業文化と価値観の不一致による早期離職も増加し始めたのです。

こうした問題から、スキルのみではなく企業文化との適応性も判断基準とする考え方に注目が集まりました。現在では、カルチャーフィットしない人材を不採用とする企業も出てきています。


② 売り手市場化による選択肢の増加

現在、日本では少子高齢化が進んでおり、企業の主要な働き手となる労働者が減っていることも原因となっています。厚生労働省の施設等機関である人口問題研究所の調査では、1995年をピークに生産年齢人口が減少の一途をたどっています。

※出典:国立社会保障・人口問題研究所|日本の将来推計人口(平成29年推計)

こうした背景から、採用市場が求職者より求人企業が多い『売り手市場』の傾向となり、労働者の転職先の選択肢が増加しました。これにより、求人企業同士での採用獲得競争が高まり、自社の魅力的な企業文化をPRする会社が増えたと考えられます。


③ ライフワークの変化と働き方の多様化

さらに、新型コロナウイルスの蔓延によりライフワークの変化が進んだ点も要因の一つです。リモートワークが一般に浸透した結果、採用時のオンライン選考も増えてきました。

オンライン選考では、求職者が企業の雰囲気を知るのは難しいため、より採用企業側が積極的に自社の企業文化をPRするようになりました。

また、近年では求職者側も様々な人材が多くなり、将来のキャリアや価値観も多様化している点から、カルチャーフィットによる自社との適合性を見る企業が増えたと考えられます。

こうしたリモートワークの増加と働き方の多様化も、カルチャーフィットによる採用判断が増加した理由になっています。

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カルチャーフィット重視の採用のメリット・デメリットとは?

カルチャーフィットを重視した採用には、主に以下のようなメリット・デメリットがあります。取り入れる際には確認しておきましょう。

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概要
メリット

・早期離職の防止効果
・社内コミュニケーションの円滑化
・生産性向上

デメリット

・過度なカルチャーフィットは多様性を失う可能性がある

メリット①:早期離職の防止効果

カルチャーフィットを重視した採用では、早期離職の防止効果が生まれるメリットがあります。いかにスキルが優れている人材であっても、経営方針や事業活動の方向性等に納得できなければ、早期離職の事態が起きやすくなります。

しかし、カルチャーフィットしている採用候補者であれば、企業カルチャーと個人の価値観が一致しているため、入社後も長く会社の成長に貢献してくれるでしょう。

したがって、採用面接時点から自社の企業文化に適した人材選考を行えば、将来的なミスマッチを防止でき、離職率の低下を促すことが可能になります。

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メリット②:社内コミュニケーションの円滑化

社内コミュニケーションの円滑化には、従業員や社員を価値観の近いメンバーで構成するのも大切な要素です。カルチャーフィット採用では、企業文化に適応した人物を採用するため、同じ考え方のメンバーが集まりやすくなり、社内コミュニケーションもスムーズになる効果が生まれます。

また、円滑なコミュニケーションが増えれば悩みを抱える従業員等も減るため、より早期退職などのリスクの低減に繋がります。社員同士の意思疎通も行いやすいので、会社全体としての成長性や業務効率も高まり、成果を出しやすくなるでしょう。


メリット③:生産性向上

カルチャーフィットした人材が自社内に増えれば、意思疎通や連携が取りやすくなるため、企業の生産性向上にも繋がります。

特に社員の成長を促し競争力を高めたい場合には、カルチャーフィット採用は重要な要素となるでしょう。

企業の成長には、社員自身に「今の会社のためにやるべきこと」や「何を期待されているのか」を自主的に考えてもらう必要があります。

カルチャーフィットしている社員であれば、会社の理念や企業文化への理解も深いため、上記のような思考から会社が望む働きをしてくれる可能性が高いでしょう。


デメリット:過度なカルチャーフィットは多様性を失う可能性がある

カルチャーフィットには上記の様な多くのメリットがありますが、一方で多様性を失ってしまうリスクもあります。

組織内では、同じ価値観・考え方の人物が集まることで、意思疎通や連携がしやすくなり生産性が上がります。ただし、あまりにも異なる考え方が出ない職場環境では、新たな発想や革新的なアイディアも生まれにくくなってしまいます。

したがって、カルチャーフィット採用のみを重視した人材採用を行うのではなく、時には異なる考え方の人物も雇用し、多様性を失わないようにする工夫も不可欠と言えるでしょう。

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カルチャーフィット採用を行うための4ステップ

カルチャーフィット採用を成功させるには、正しいステップを理解して実践する必要があります。具体的には以下の4つの工程があります。


① 企業カルチャーの明確化と浸透

最初に企業カルチャーの明確化を行います。自社の理念や文化、方針が明確でなければ、どのような求職者を採用すれば良いのか分かりません。そのため、まずは組織が目指すべき方向性や事業目標、経営理念等を具体的に定め、社員全員が共するようにしましょう。

なお、企業カルチャーを明確にしていても、従業員に理念が浸透していないケースがあります。具体的には、経営者や役員、管理職のみが企業カルチャーに詳しい場合です。

このような経営層と現場職員の意識の差があっては、企業カルチャーは浸透しないため注意しましょう。

特にカルチャーフィット採用を行う採用担当者は、自社の企業文化について正しく認識している必要があります。また、応募者が自社のカルチャーに適応しているか判断するためにも、定量的に評価できる指標や項目を作っておきましょう。


② 自社カルチャーに適応した採用ペルソナの設定

採用ペルソナは、企業にとって理想的な採用の人物像を指します。①で企業カルチャーが明確になり、社内に浸透して認識が進めば、どのような人物が自社カルチャーに適合するかも判断できます。具体的にカルチャーフィットする採用ペルソナを定めて、面接での質問事項や評価基準を作ってみましょう。

なお、ペルソナを定める際には具体的な人物像の設定が重要です。求めるスキルや能力だけでなく、年齢や家族構成、性格・価値観・考え方・キャリアビジョンなども書き出してみると良いでしょう。特に近年の求職者は「仕事のやりがい」や「成長環境」を重視する傾向にあります。その点も考慮してカルチャーフィットするペルソナを設計しましょう。

ちなみに、ペルソナ設計に悩む場合は、自社に在籍する優秀な社員を模範にするのも効果的です。

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③ 採用候補者の価値観の確認

採用ペルソナを設定した後は、選考で候補者の価値観がカルチャーフィットするか確認します。見定める方法としては、ヒアリングで相手の考え方が分かる面接がメインとなるでしょう。そのため、面接時における質問を工夫するとカルチャーフィットするか判断しやすくなります。

具体的には「自社のカルチャーをどう思うか」「仕事で直面した問題をどう解決したか」といった、これまでの経験や価値観が分かる質問を取り入れると効果的です。また、大きな決断をした理由や重要視している要素などを聞いても良いでしょう。

こうした質問で得た回答を基に、自社の企業文化に適した人物か判断します。なお、人それぞれ採用候補者への印象や評価は異なるため、採用担当者だけでなく現場社員、役員なども含めて複数人数で面接を行うと多面的な判断ができます。

可能であれば、面接以外でも交流会や座談会などを設けて候補者と対話し、自社の企業文化への適正を見るのもおすすめです。


④ 自社カルチャーの発信とPR

さらに、よりカルチャーフィットする人材を増やすためには、自社カルチャーの発信やPR が欠かせません。いかに明確で素晴らしい企業カルチャーがあっても、それが多くの求職者に認知・共感されていなければ応募も来ないためです。

したがって、企業ホームページや採用サイトなどを活用し、明確にした企業カルチャーを発信するようにします。多くの求職者の目に入る機会が増えれば、その分共感した人からの応募も増えてカルチャーフィットする人材を見つけやすくなります。

それと同時に、より企業カルチャーを深く知ってもらうためのPRも実施しましょう。ホームページでは分からない内容、企業の雰囲気などが分かる資料も配布します。他社とは異なる魅力的なカルチャーがある旨を伝えると、より企業文化に共感した意欲ある人材が来やすくなります。

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採用段階でカルチャーフィットできるかチェックする方法

続いて、求職者がカルチャーフィットできるかチェックする方法も詳しく見てみましょう。主な方法には以下の4つがあります。


① インターンによる方法

インターンシップでの勤務でカルチャーフィットのチェックが可能です。業務を行い他の社員と交流すれば、企業文化や会社の雰囲気を感じられるため、カルチャーフィットのチェックができます。

長期間のインターンが難しい場合は、 1DAYインターンも効果的でしょう。
短い期間でも実際に職場の雰囲気や文化に触れることで、求職者がどのように感じているかを見られます。

求職者にとっても、職場でのインターンは入社前の不安解消にもつながりますので、実施してみると良いでしょう。

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② 役職・部署の異なる複数の社員面接による方法

面接時の求職者に対する印象は、それぞれの面接官によって異なるのが通常です。カルチャーフィットしているかの判断も、人によって違う場合があるため注意しましょう。

したがって、求職者がカルチャーフィットしているか判断するためには、役職・部署が異なる複数の社員で面接を行うと良いでしょう。

採用担当だけでなく、管理職や現場職員などにも面接官を担当してもらうのがおすすめです。


③ リファレンスチェックによる方法

採用予定者の本来の姿を確認する方法としては、リファレンスチェックも効果的です。採用予定者が以前勤めていた職場の関係者に、勤務態度や人柄などを確認できるためです。

もしリファレンスチェックが可能である場合は、前職の同僚の方や上司、採用担当者などに話を聞いてみましょう。その内容を基に、自社でもカルチャーフィットするかを検討していきます。


④ カルチャーフィット診断による方法

人間による面接は恣意的な見方や判断が入りやすくなるため、 AIなどを活用した「カルチャーフィット診断」を取り入れるのも一つの方法です。判断基準さえ明確であれば、より客観的で多面的なカルチャーフィットのチェックが可能になります。

ただし、 AIなどは人柄や雰囲気といった直接対話で分かる要素は評価できないため、対人での面接と合わせて活用するのが良いでしょう。

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カルチャーフィット確認のためにすべき面接の質問とは?

採用予定者がカルチャーフィットしているか判断するためには、面接も工夫する必要があります。主に以下の内容を含めた質問を行うと良いでしょう。

【面接担当者必見】効果的な質問事例50選と知っておくべき面接の流れや役割について


① 自社カルチャーに関連する質問

求職者の価値観と企業文化がマッチするかの確認として、自社カルチャーに関連する質問を行う方法があります。例えば、自社のカルチャーが「変化を恐れずスピーディーに成長する」であれば、下記のような質問を行うと良いでしょう。

<質問事例>

  • 「これまでに行っていた業務の中で、変えた方が良いことはありましたか?」
  • 「仕事の方法を変えたいと思った時に、あなたはどうしますか?」
  • 「業務改善や効率化を行った経験はありますか?また、どのくらい時間を効率化できましたか?」


大切なのは求職者の過去の経験や行動、価値観が分かる質問を行うことです。質問で得た回答から、企業文化と求職者の価値観が近いかチェックしましょう。


② 仕事上で重要視している価値観

カルチャーフィットをチェックする際は、個人の価値観や仕事上でのこだわりも把握しておく必要があります。企業文化と求職者の価値観が一致しないと、入社後にモチベーションが低下し早期退職のリスクもあるためです。

例えば、革新的なアイディアや発想を重視する企業カルチャーの場合、変化を好まず主体的に考えて動くことができない人はマッチングしないでしょう。

求職者が大切にしている価値観を把握できれば、自社との相性も確認できますので質問事項を考えてみましょう。


③ 将来的な目標やキャリアプラン

求職者が自社とカルチャーフィットしても、個人の将来的な目標やキャリアを達成できなければ退職してしまう可能性があります。したがって、必ず仕事を通して達成したい個人の目標やキャリアプランについても確認しておきましょう。

なお、キャリアプラン等に関する質問事例としては、以下のようなものがあります。

<質問事例> 

  • 「弊社で取り組んでみたい業務はありますか?」 
  • 「5年後、10年後にはどのような姿になりたいですか?」 
  • 「目標達成のために今取り組んでいることはありますか?」


こうした質問からも価値観や考え方が分かりますので、カルチャーフィットの確認のためにも聞いておくと効果的です。


④ 逆質問

逆質問は、求職者が重視する内容・関心のある事項について質問する傾向が高いため、面接官からの質問とは別に機会を設けておくと良いでしょう。

逆質問の内容からも求職者の価値観や考え方を把握できますので、カルチャーフィットの確認に有効です。

具体的には、コミュニケーションやマネジメントの方法、連絡の取り方などに関しての質問であれば、職場での働き方や雰囲気について関心があると考えられます。

また、事業内容や経営方針についての質問の場合には、企業の将来的な方向性やビジョンとの適合性を意識している可能性が高いでしょう。


まずは自社カルチャーの明確化と発信から始めましょう!

カルチャーフィットの概要や注目される背景、メリットやデメリット、導入するためのステップ等についても解説しました。

カルチャーフィットする人材を採用するためには、まず自社のカルチャーが明確になっていないと理想的な人材が分からないため注意しましょう。

その上で、自社のカルチャーに共感してくれる求職者から応募を募るために、企業文化の発信やPRも忘れずに行いましょう。そして、求人の際には本記事を確認しながら、相手の価値観や考え方を把握できる面接等を設計し採用を進めてみて下さい。

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ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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